経験
乳児における抗百日咳毒素抗体価の解釈における課題
-――2症例の検討
横山 宏司
1
,
貴夛 大樹
1
,
藥王 俊成
1
,
岡元 文香
1
,
前田 啓祐
1
,
宮崎 紗矢香
1
,
坂部 匡彦
1
,
額田 貴之
1
,
深尾 大輔
1
,
杉峰 啓憲
1
,
池田 由香
1
,
儘田 光和
1
1日本赤十字社和歌山医療センター小児科部
pp.1188-1192
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003636
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百日咳感染症は,Bordetella pertussis(百日咳菌)の気道感染によって引き起こされる急性呼吸器感染症である.本疾患の初期には感冒様のカタル症状がみられ,その後,持続する咳嗽,咳嗽後の嘔吐,吸気性の笛声(whoop)などの特徴的な症状が出現する.乳児期早期においては,典型的な咳嗽が認められないことがあり,無呼吸発作,チアノーゼ,けいれんを呈し,重篤な場合には呼吸停止に至ることがある.また,肺炎や脳症といった重篤な合併症も報告されており,呼吸管理を要する例や死亡例も散見される.百日咳感染症の診断には,PCR検査や培養検査に加え,血清中の抗体価測定が広く用いられている.しかし,抗体価の上昇が必ずしも急性感染を反映するわけではなく,とくにワクチン接種や過去の感染による抗体価上昇との鑑別が課題となっている.本報告では,百日咳抗体価の上昇を示した乳児2例を経験したことから,最新の抗体価の解釈を含め,百日咳感染症の診断における現状と課題について考察する.

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