オピニオン
ビジョン・ゼロに基づく生活道路における歩行児の交通事故死傷の防止
泉 信夫
1
1元 出雲市立総合医療センター小児科
pp.1181-1186
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003634
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交通事故による歩行者の死亡・重傷者は未就学児,低学年児童で多く,その通行目的は小学1~2年生では登校中が10%,下校中が24%,私用が66%を占める.子どもへ通行の安全スキルの指導が行われるが,この年齢では効果は小さい.ビジョン・ゼロの考えに沿い,事故を公衆衛生上の問題と捉え,交通環境を改善することが有効であり,その効果は全年齢層に及ぶ.車の速度制限に留まらず,歩道を広げ車道を狭くする,ハンプやスムーズ横断歩道の設置,自動ブレーキなどの新車への義務化に取り組むことが必要である.国は交通環境整備にあたり,利用者の視点を生かす住民参加を求めている.小児科医は自身のかかわる園・校区の道路事情に目配りし,住民参加を牽引したい.

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