FORUM 司法精神医学への招待――精神医学と法律の接点・Vol.12
道路交通法と精神障害
赤崎 安昭
1
Yasuaki AKASAKI
1
1鹿児島大学医学部保健学科・同大学院保健学研究科
pp.335-341
発行日 2025年7月26日
Published Date 2025/7/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294040335
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てんかん患者が自動車等を運転中にてんかん発作を起こし,子どもを含む多くの死傷者を出すという暴走事故が相次いで発生した.このような事態を背景に,てんかん,統合失調症,重度の眠気の症状を呈する睡眠障害,認知症等,自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある病気による事故を防止するため,道路交通法が改正され,2014年6月1日から,一定の病気等に該当する場合は,免許の取得,更新時に一定の病気に該当するかどうかを判断するために「質問票」に回答することが義務づけられた.そして,その結果によっては,免許の可否を判断するための臨時適性検査が行われ,主治医がいない者は,公安委員会が指定する専門医が判断するが,主治医がいる者は主治医が記載した診断書を提出することでその可否が決定されることになった.上記のいずれかを拒否する者に対しては,運転免許の更新を拒否することができるため,上記の手続きを経ることは当事者にとっては “命令” である.

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