症例
ESBL産生大腸菌による反復性尿路感染症に対しホスホマイシン予防投与を行った乳児例
谷山 雄一
1
,
西尾 梨花
1
,
山上 綾子
1
,
池野 郁
1
,
酒井 清祥
2
,
和田 英男
1
1公立能登総合病院 小児科
2金沢大学附属病院 小児外科
pp.415-419
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003426
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水腎症や膀胱尿管逆流症(vesicoureteral reflux:VUR)を有する小児に対しては上部尿路感染症の予防を目的として予防的抗菌薬投与が検討されるが,賛否両論がある.小児VURに対する予防的抗菌薬投与の有効性を検討した米国の大規模ランダム化比較試験(RIVUR study)では,予防投与はプラセボと比較して尿路感染症の頻度を半減させたが,腎瘢痕化率は同程度であることが示された1).日本小児泌尿器科学会のVURおよび先天性水腎症の診療手引きでは,尿路感染症のリスクが高い症例に対するST合剤や第一世代セフェムによる予防的抗菌薬投与について記載されている2)3).近年はESBL(extended-spectrum β-lactamase)産生菌などの薬剤耐性菌による尿路感染症が増加しているが,耐性菌による尿路感染症再発予防策には一定の見解がない.今回われわれは,ESBL産生大腸菌による上部尿路感染症を反復した先天性水腎症の乳児に対してホスホマイシン(FOM)予防投与を行った.予防投与開始後は再発なく,FOMがESBL産生菌による尿路感染症予防の選択肢になり得ると考えたため報告する.

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