特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
9.腸内細菌叢解析からみた食事の重要性
田沼 直之
1
1東京都立府中療育センター小児科
pp.782-786
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003113
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
重症心身障害児者(重症児者)では重度の摂食嚥下障害のため,新生児期から経管栄養による栄養剤の注入のみで成人まで栄養を摂取している場合も少なくない.次世代シーケンサー(NGS)を用いた腸内細菌叢のメタゲノム解析により,重症児者の腸内細菌叢は食事の経口摂取群と経管栄養群で菌叢パターンが異なっていることが明らかになった.また,菌叢の多様性を表す指標も経管栄養群では低下しており,菌叢の多様性が低いディスバイオーシスの状態にあることがわかった.ディスバイオーシスには食物繊維の摂取が少ないことが関係しており,甘酒など日本の伝統的発酵食品は腸内細菌の餌となり,慢性便秘症の症状を改善する可能性がある.
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.