特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
8.小児手術後の腸内細菌叢の変化と対策
金森 豊
1
1国立成育医療研究センター外科臨床研究員
pp.776-781
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003112
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小児外科疾患のなかでとくに新生児期発症の疾患は,腸内細菌叢が確立していない時期に手術侵襲と抗菌薬の使用や経口摂取制限などが重なり,異常な腸内細菌叢を形成することが危惧される.その結果,偏性嫌気性菌の生着不良,病原性菌の増加などにより繰り返す腸炎や栄養吸収能の低下などが起こり,治療に難渋する.腸内細菌叢をコントロールする治療法にはいくつかのオプションがある.プロバイオティクス,プレバイオティクス,シンバイオティクスなどの腸内細菌をコントロールする有用菌の生着や増殖を誘導する方法,健常人の糞便中の細菌を移植する方法,などである.これらは現在成人領域で臨床応用が始まっているが,小児ではまだ研究段階といえる.今後科学的な検証を行って小児で有効な新たな治療法が開発されることが期待される.
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