特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
6.造血幹細胞移植における腸内細菌叢の重要性
荒 隆英
1
1北海道大学大学院医学研究院血液内科
pp.761-766
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003110
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
同種移植において移植片対宿主病(GVHD)は最も重要な致死的合併症である.近年の検討から,GVHDでは組織の恒常性維持機構が破綻して,さらなるGVHDの悪化につながることが明らかとなってきた.腸管は主たるGVHDの標的臓器であるのみならず発信臓器としても重要であり,腸管の組織恒常性維持機構の破綻はGVHDの発症・増悪の重要な契機となる.腸内細菌叢は腸上皮細胞をはさんで人体と双方向に影響を及ぼし合っており,GVHDの病態形成にも重要な役割を担っている.腸内細菌叢の観点からGVHDをとらえることは,既存の免疫抑制に頼らない新たなGVHD予防・治療法の開発につながる可能性がある.
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.