特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
5.小児の特発性ネフローゼ症候群における腸腎連関
辻 章志
1
,
赤川 翔平
1
,
金子 一成
1
1関西医科大学小児科学講座
pp.754-759
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003109
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近年の研究成果から,ヒトの腸内細菌叢は全身の諸臓器と相互に影響しながら機能していることが明らかとなってきた(臓器連関).腎臓も腸内細菌叢と双方向的な作用をしており,「腸腎連関」として注目されている.腸腎連関の研究としては慢性腎臓病を対象としたものが多いが,筆者らの報告を機に,小児の特発性ネフローゼ症候群における腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)に関する報告も増えている.筆者らは,小児の特発性ネフローゼ症候群患者における酪酸産生菌の減少を特徴とするdysbiosisの存在を初めて報告したが,その後,複数のグループから同様の報告が相次いでいる.さらにdysbiosisに対する介入としてのプロバイオティクスの継続投与が,特発性ネフローゼ症候群の再発回数や難治化を抑制する可能性も確認されている.そこで本稿では,慢性腎臓病と特発性ネフローゼ症候群における腸腎連関について紹介する.
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