特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
7.周産期母体腸内細菌叢の経世代的機能
-――子の神経系発達の観点から
栃谷 史郎
1
1鈴鹿医療科学大学保健衛生学部放射線技術科学科
pp.767-775
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003111
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母体腸内細菌叢はさまざまな環境因子の影響を受け可変的である.また母体腸内細菌叢は児に垂直伝搬される.子により継承された母体由来細菌は定着し,子の腸内細菌叢の確立に寄与するとともに,子の心身の発達に関与する.一方で,母体腸内細菌叢は養育行動を調節するなど母親のメンタルウェルビーイングの基盤となる.虐待やネグレクトなど不適切な養育は子の心身の発達に負の影響を与えるため,健全な母体腸内細菌叢は周産期母体の健全なメンタルヘルス維持に貢献することでも子の適切な発達の基盤となる.以上から,母体腸内細菌叢は次世代の健全な心身を規定する世代を超えた機能を有するということができる.
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