増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅴ 腎疾患
症候群と尿沈渣成分
ネフローゼ症候群
日髙 輝夫
1
,
鈴木 祐介
1
1順天堂大学医学部腎臓内科
pp.462-463
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201564
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代表的な疾患・病態
ネフローゼ症候群とは,厚生労働省の診断基準によると,①蛋白尿:1日尿蛋白排出が蓄尿3.5g/日(もしくは随時尿3.5g/gCrも参考)以上,②低アルブミン血症:血清アルブミン3.0g/dL以下(血清総蛋白6.0g/dL以下も参考),③浮腫,④脂質異常症(高LDLコレステロール血症),を認める疾患であり,高度な蛋白尿の漏出を主な徴候とする疾患群である.アルブミンに代表される蛋白質が尿から漏出するために,低蛋白血症をきたし,膠質浸透圧の低下から浮腫をきたす.蛋白質の漏出が糸球体と尿細管の両者に障害を与えるため,漏出の程度が強い場合は腎障害から腎不全に至ることがある.
原因としては,微小変化群,膜性腎症,膜性増殖性糸球体腎炎,ループス腎炎,急性糸球体腎炎などの原発性腎疾患に伴うものと,糖尿病やアミロイドーシス,多発性骨髄腫関連疾患による全身疾患に伴うものに分けられる.
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