目で見る小児科
日齢1より特徴的な異常眼球運動で発症した小児交互性片麻痺の1例
松野 早紀
1
,
大木 康史
1
,
緒方 朋実
2
,
荒川 篤康
2
,
品川 穣
2
,
小柳 晴加
1
,
齊藤 亜希子
1
,
関根 和彦
1
,
浦野 博央
1
,
袖野 玲子
1
,
鈴木 尊裕
1
,
針谷 晃
1
1桐生厚生総合病院小児科
2群馬大学医学部附属病院小児科
pp.1075-1076
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002743
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経過:在胎38週5日,出生体重2,704g,新生児仮死なく出生.日齢1より片側のみ水平方向の眼振が出現,生後2か月から眼振に伴い,全身強直・顔面紅潮を認めた(図).眼科的異常所見を認めず,精査目的に当科へ入院し,血液検査や頭部単純MRI検査,脳波検査を施行したが,異常を認めなかった.さらなる精査のため三次病院へ紹介,入院となった.長時間ビデオ脳波検査,その他代謝異常疾患などの検査も異常なく,遺伝子検査が提出された.生後4か月時に眼振,強直性けいれんを認め,自発呼吸が乏しく気管挿管,人工呼吸管理が開始され,ジアゼパム,ミダゾラム静注にて止痙された.その後ATP1A3に既知の病的バリアント(NM_152296.5 c.2443G>A, pGlu815Lysヘテロ接合性変異)が判明し,小児交互性片麻痺(alternating hemiplegia of childhood:AHC)と診断された.片麻痺発作は生後8か月より出現し,9か月時の遠城寺式発達検査で全項目4~6か月相当と全般的な発達の遅れを認めた.現在トピラマートとフェノバルビタールを内服し,1週間に1回程度の眼振と片麻痺発作,1~2か月に1回程度の強直性けいれんがあり,発作は難治に経過している.
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