15．身体診察の意義 -――指導者と学習者の分断

診療における身体診察の価値について，指導者と学習者の意見の相違は大きい．学習者は身体診察を冗長な儀式とみなし，その高度な技術は学習者自身には習得困難なものと考える．医学教育でも実際の患者との臨床診療技能評価は不足している．また，臨床検査と比較する議論にも誤解が生じており，身体診察のもつ現症のスクリーニング，鑑別疾患の構築といった役割は過小評価されがちである．その技術を継続可能なものにするには指導医の役割は大きい．学習者が正しいフォームを習得するために，指導医はベッドサイドで一緒に診察し，さまざまな切り口で問題点を抽出することで，それぞれに応じた指導を行う必要がある．