Japanese
English
Bedside Teaching
交互脈の病態生理
Pathophysiology of Mechanical Alternans
小玉 誠
1
Makoto Kodama
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器学分野
1Division of Cardiology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences
pp.329-336
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100524
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はじめに
脈を診るという行為は,古くから医師の象徴的姿と捉えられている.聴診器が発明される前から脈の診察は行われていた.古代の医師も,江戸時代の医師も,現代の医師も,患者さんの傍らで橈骨動脈を触診している.終末期の患者さんの診察では,脈を診ながら困難な判断や深刻な宣告をする.
今日,様々な検査法や診断技術が進歩し,多くの情報が得られるような時代にあって,脈を診るという診療行為の意義は終焉を迎えてしまうのであろうか.そのようなことはない.脈拍には多くの情報が含まれている.脈拍異常には遅脈,速脈,奇脈,大脈,小脈,交互脈,左右差,上下肢差などがあり,それぞれ特徴的な血行動態や心血管病態を反映している.さらに不整脈の検出にも脈拍触診は感度が高い.脈拍の触診から得られる情報は医師が直接捉える所見であり,検体の取り違えや結果の誤転記などの誤りが入る余地はなく,信憑性が極めて高い.さらに,脈拍所見のなかには未だに成因が不明のものがあり,その成因を追及することによりまだ解明されていない心筋の特性に迫れる可能性がある.その代表が交互脈(pulsus alternans)である.
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