社会小児科学
ワクチンで予防可能な感染症(VPD)とWHOのフィールドワーク
-――サーベイランスからウイルス根絶まで
遠田 耕平
1
1秋田赤十字病院
キーワード:
surveillance
,
smallpox
,
eradication
,
poliomyelitis
,
二刀流
Keyword:
surveillance
,
smallpox
,
eradication
,
poliomyelitis
,
二刀流
pp.168-177
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002484
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人類は長くウイルスと共存してきた.その過程でいく度か人類の存続を脅かすウイルスの登場がある.サーベイランスはそのなかで生まれた手法だ.近年にはSARSが現れ,自らの命を懸けて報告してくれたカルロ・ウルバニ医師の姿は医者として未知の感染症と向き合うわれわれに多くの示唆を残してくれた.ウイルスと戦う手段としてのワクチンはジェンナーによって天然痘予防の種痘として始まる.人類はこのワクチンを使って200年後に天然痘撲滅を成し遂げるが,その陰には多くの試行錯誤と工夫があった.その成功に押され,ポリオ根絶計画が始まるが,40年経った今も試行錯誤が続いている.その裏には人種差別,地域紛争,デマの流布,そして新たなワクチン変異株の出現があった.医者として感染症とどう向き合うか,筆者がWHO医務官として20年あまり現場で向き合ってきた経験をもとに述べる.
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