７．性的マイノリティの権利保障をめぐる国内施策の課題

「人権の世紀」といわれる21世紀に入って，LGBTなど性的マイノリティをめぐる国内外の状況は大きく変わった．とくに日本国内では，「LGBTブーム」という言葉が生まれるほど社会的な関心が高く，さまざまな施策について肯定的な世論も増えている．日本政府は，国連LGBTIコア・グループの参加国としてリーダーシップを示すなど，対外的には積極的な活動を展開してきたが，国内施策については再三にわたる国連の改善勧告を受ける立場にある．本稿では，過去20年における日本国内の動向を概観し，各国との比較にみる日本社会の特徴や日本学術会議による「提言」を紹介しつつ，LGBT施策における今後の課題を整理する．