症例
ビタミン・ミネラル補助食品を使用したセレン補充により血性嘔吐をきたした完全中心静脈栄養を行う重症心身障害者の1例
鈴木 清高
1
1国立病院機構豊橋医療センター小児科
キーワード:
セレン
,
ビタミン・ミネラル補助食品
,
完全中心静脈栄養
,
慢性腎不全
,
重症心身障害児者
Keyword:
セレン
,
ビタミン・ミネラル補助食品
,
完全中心静脈栄養
,
慢性腎不全
,
重症心身障害児者
pp.1705-1708
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002016
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
セレン(Se)は必須微量ミネラルの1つで,通常の食生活では欠乏をきたすことはないが,Seを含有しない静脈栄養を行う患者では,適切にSeを補充していない場合,Se欠乏がみられる1).Seは,システインの硫黄がSeに置き換わったアミノ酸であるセレノシステインの形でセレノプロテインに含まれており,セレノプロテインとして生体内で機能し,主に酸化ストレスからの保護効果を発揮する1)2).Se欠乏の際は,小児では2~5μg/kg/日を目安にSeの補充を行うとされるが,過剰摂取は神経系の障害やさまざまな内臓疾患を引き起こすため,慎重な対応が必要である1).われわれは,慢性腎不全をきたし嘔吐が続くため,腎不全用経腸栄養剤の注入から完全中心静脈栄養に変更した後に血清Seが低値となり,有機セレニウム(Seイースト)を主成分とするブイ・アクセル(VA)(ニュートリー社)を経鼻経管から注入後に血性嘔吐がみられた重症心身障害者の1例を経験したので報告する.
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.