特集 子どものコモンな微徴候・微症状
消化器
34.しゃっくりが多い
池端 綾音
1
,
山本 陽子
1
,
永田 智
1
1東京女子医科大学小児科
キーワード:
持続性
,
難治性吃逆
,
横隔神経
,
迷走神経
,
GABA抑制系
,
空気嚥下
Keyword:
持続性
,
難治性吃逆
,
横隔神経
,
迷走神経
,
GABA抑制系
,
空気嚥下
pp.1163-1167
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001896
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しゃっくりは吃逆ともよばれ,英語ではhiccup,hiccough,singultusと表現される.そのメカニズムは「横隔膜のけいれん」といわれてきたが,研究自体が少数に留まり,詳細なメカニズムや生理的意義は不明な点も多い.解明されてきているメカニズムとして,求心性の横隔神経や迷走神経,交感神経(Th6〜12)が延髄や脳幹網様体,横隔膜神経核,視床下部といった中枢神経系を介し,遠心性の横隔神経が横隔膜,肋間筋,前斜角筋などの呼吸筋,声門閉鎖筋群への刺激となりしゃっくりが起こり1)〜3),左側横隔膜が原因のことが多いとされている1).ネコの鼻咽頭後壁に機械刺激を与えた実験でしゃっくり様の運動が認められ,この報告においては反射の刺激受容体が鼻咽頭後壁に存在し,舌咽神経から延髄への経路も求心路であるとされている4).しゃっくりはこうした神経経路への刺激や神経経路に存在する病変により誘発されると考えられる.しゃっくりの反射における抑制のメカニズムとして,脳内のガンマアミノ酪酸(GABA)が関与し,幼児がしゃっくりを頻繁に起こす要因として,このGABAによる抑制系が未発達であるためと考えられており,年齢とともにGABAによる抑制系が発達を遂げると,しゃっくりの頻度は大幅に低下する5)6).
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