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包茎とは「包皮が翻転できず陰茎先端が包皮に包まれた状態」であり,生下時には亀頭と包皮内板との間がほぼ癒着しているため正常では100%が包茎である(先天性異常の尿道下裂では包皮にも形成異常があるため生下時に亀頭が露出している).乳児期〜幼児期に亀頭表面と包皮内板の間に表皮の落屑が生じることにより次第に両者の癒着が剥がれていく.この時期には,部分的に落屑表皮が堆積して白色の小塊を形成し包皮下に透視できることがある.これを「恥垢」とよび,ときに「陰茎腫瘤・腫瘍の疑い」で紹介されることがあるが,無治療・経過観察でよい(図1).3〜4歳頃には陰茎の成長とともに大部分の癒着が消失し,間欠的に起こる勃起によって徐々に包皮の先端(包皮口)が開大し,亀頭の一部が自然に露出してくる.しかしながら,小児期の包皮口の伸展性には個人差があるため伸展性がなく硬く狭い場合は,自然の状態でも,用手的に翻転を試みても亀頭露出は困難なことがある.Kayabaら1)の0〜15歳の日本人男児603名における包茎の頻度を調べた報告では,完全に包皮が翻転できるのは6か月では0%だが11〜15歳では62.9%,一方,まったく翻転できないのは6か月で84.3%だが11〜15歳では8.6%となっており,完全に包皮が翻転できないのは新生児や乳児では普通であり,包皮は思春期に向けて自然に翻転できるようになっていく.本稿における“包茎ぎみ”とは「包皮を用手的に翻転すると亀頭の一部が確認できるが,完全に包皮が翻転できない成長期にみられる生理的な状態」と定義する(図2).包茎の自然史は明らかにされており,95%以上の男児で思春期以降では亀頭露出が可能になるので,無症状の小児包茎にむやみに治療介入すべきではないことを知っておく必要がある.
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