症例
化膿性膝関節炎発症時に発見された皮質骨不整の1例
谷口 千尋
1
,
酒詰 忍
1
,
太田 和秀
1
1国立病院機構金沢医療センター小児科
キーワード:
cortical irregularity
,
大腿骨遠位骨幹端内側
,
境界明瞭な骨硬化像
,
骨透亮像
,
良性
Keyword:
cortical irregularity
,
大腿骨遠位骨幹端内側
,
境界明瞭な骨硬化像
,
骨透亮像
,
良性
pp.210-214
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001198
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皮質骨不整(cortical irregularity)は10歳代の若年者で,外傷のために撮影したX線画像で偶然発見されることが多く,約3~10%程度の頻度で認められる.辺縁硬化を伴う境界明瞭な透亮像が特徴で,一般的に年単位で画像上自然消失する.病理学的には大腿骨遠位骨幹端内側後面の皮質骨内に生じる,骨化成分をほとんど有しない線維組織を主成分とする良性骨腫瘍(線維性骨皮質欠損)である.良性であり,年齢・発生部位・画像所見からcortical irregularityが疑われる場合は,生検など侵襲的な検査を行わずに経過観察することが一般的である.患部の疼痛が強い例や骨膜反応を伴う例では骨髄炎や悪性疾患の鑑別を要する.今回われわれは化膿性膝関節炎の診断の際に画像上,cortical irregularityを認めた症例を経験した.MRI検査では骨髄炎や占拠性病変はなく,関節液から悪性細胞は検出されなかった.感染症の治療で疼痛は改善され,機能障害を残すことなく治癒したが,画像所見は変化せず残存しており,感染症との関連はなく偶然発見されたものと考えた.
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