５．クリニックで行う心エコー検査

クリニックで行う心エコー検査は，適応，手技，求められる診断の精度などの点において大病院で行う場合と異なる．本稿では収縮期心雑音を聴取した場合，クリック音を聴取した場合，低心拍出を疑った場合，川崎病患児の場合，細菌性心内膜炎を疑った場合などのそれぞれについて，第1線としてのクリニックにおける心エコー図の所見のとり方や実施上の注意点について述べる．心疾患を疑ったが異常所見を認めず，正常であることを診断した場合には完結するが，異常所見を認め，心疾患の疑いが除外できない場合には小児循環器専門医のいる大病院へ紹介して診断の確定と以後の方針決定を委ねるのが原則である．限られた時間のなかで心エコー検査を行う場合の留意点について要点を述べる．