特集 思春期を診る!
Ⅱ章 小児科医が行う思春期診療─どう診るか?どこまで診るか?
14 睡眠の問題
駒田 陽子
1
,
井上 雄一
2
Y. komada
1
,
Y. Inoue
2
1明治薬科大学 リベラルアーツ
2東京医科大学 睡眠学講座
キーワード:
概日リズム
,
起床困難
,
眠気
,
不眠
,
睡眠衛生
Keyword:
概日リズム
,
起床困難
,
眠気
,
不眠
,
睡眠衛生
pp.565-573
発行日 2018年4月30日
Published Date 2018/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000000436
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思春期は,生体リズムが夜型化することから,概日リズム変調が起こりやすい.これに加えて,不適切な睡眠衛生,夜型の生活リズムを促進するような生活環境,平日と週末の睡眠時間帯がずれる社会的ジェットラグの状態が累加し,概日リズム睡眠覚醒異常症群につながっていく.思春期に代表的な概日リズム睡眠覚醒異常症群は,睡眠時間帯が通常要求される時間帯から慢性的に後ろにずれた状態となる「睡眠・覚醒相後退型」である.その症状改善のためには,患者の治療に対するモチベーションを保ちつつ,有効性が確認されている高照度光照射やメラトニン療法と並行して,入念な睡眠衛生指導を図ることが必要である.思春期は8時間以上の睡眠時間が必要であり,平日起床時刻から逆算して就寝時刻を決め,これをずらさないようにすることや,設定した睡眠時間帯にうまく睡眠がとれるよう夜間の娯楽特にディスプレイ使用を制限するなどの指導を継続的に行うべきである.
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