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特集 骨折治療の現在地を知る!
Ⅳ.治療指針・治療戦略
上腕骨骨折に合併した橈骨神経麻痺に対する最新の治療指針・治療戦略
Radial nerve palsy associated with humeral fracture;current evidence
坂 なつみ
1
Natsumi SAKA
1
1帝京大学医学部附属病院,外傷センタ
キーワード:
Humeral fracture
,
Radial nerve palsy
,
Nerve injury
Keyword:
Humeral fracture
,
Radial nerve palsy
,
Nerve injury
pp.503-508
発行日 2024年4月30日
Published Date 2024/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002962
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上腕骨骨幹部骨折に伴う橈骨神経麻痺の発生率は11.8%とされる。神経損傷は一時的な圧迫から完全断裂まで様々な形態を伴う。2021年のシステマティック・レビューでは早期に神経を確認したケースでは98%が回復しているのに対し,自然経過の回復率は91%であり,有意な差はみられなかったと報告されている。よって閉鎖骨折では保存治療が行われることが多かった。しかし,最近では手術時に橈骨神経を確認すると答える外科医も増えている。神経を確認する場合の内固定時のアプローチは慎重に計画されるべきであり,損傷の有無の確認に超音波検査は有効である。神経断裂の危険因子には,骨折の種類や重症度が関連しており,特に高エネルギー外傷で神経修復後の予後も悪いことが示されている。神経を確認するべきか否かは骨折の部位や損傷形態を踏まえつつ,決定されるべきであろう。
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