発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005275589
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59歳男.34年前,交通事故で左上腕骨骨幹部骨折を負った.観血的整復固定術を受けたが偽関節となり,プレート固定,骨移植などによっても骨癒合は得られず,以後そのまま放置していた.約1年前,川で投網をしていたところ左母指背側に痺れが出現した.その後も2ヵ月間投網を続けていたところ左手指と手関節に伸展障害が出現し,徐々に増悪,伸展は全く不可能となり受診した.諸検査により橈骨神経麻痺と診断し,偽関節手術+神経剥離術を行った.橈骨神経には偽関節部での挟み込みや急激な屈曲はなかったが,周囲組織が偽関節部と癒着しており,これによる慢性的な刺激が麻痺の原因と考えられた.偽関節は術後1年で癒合が得られ,麻痺・伸展障害も軽減し,術後3年の現在,ADL上とくに不自由は生じていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005