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特集 薬物療法が奏効する整形外科疾患
軟骨無形成症の薬物治療
Medical treatment of achondroplasia
松下 雅樹
1
Masaki MATSUSHITA
1
1名古屋大学,整形外科
キーワード:
Achondroplasia
,
FGFR3
,
Vosoritide
Keyword:
Achondroplasia
,
FGFR3
,
Vosoritide
pp.373-377
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002930
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要旨:軟骨無形成症は,四肢短縮型低身長を呈する骨系統疾患であり,fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3)の恒常的活性化変異により発症する。低身長のほかに,大後頭孔狭窄,睡眠時無呼吸症候群,中耳炎,脊柱管狭窄症を合併する。低身長に対しては従来,成長ホルモン注射と骨延長術が標準治療として行われてきた。FGFR3シグナルを抑制するC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ製剤であるボソリチドが有意に身長を増加させることが治験で証明され,2022年6月に本邦で承認された。ボソリチドによる低身長以外の症状を改善する効果を示したデータは少ない。そのほかにも,CNPの徐放製剤であるTransCon CNP,FGFR3の下流を抑制するInfigratinibや塩酸メクリジン,FGFR3のリガンドであるFGF2を抑制するRBM-007などが開発中である。これにより軟骨無形成症の低身長に対する治療の選択肢は今後増加することが予想される。一方,頭蓋底や椎弓に存在する軟骨結合の早期閉鎖によって大後頭孔狭窄や脊柱管狭窄が発症するため,低身長以外のこれらの合併症を回避するためにはFGFR3インヒビターを早期に投与開始する必要があることが示唆される。
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