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増刊号特集 最近のトピックス2023 Clinical Dermatology 2023
2.皮膚疾患の病態
遺伝学的解析からアクロコルドン/スキンタグの正体を探る
Genetic analysis of acrochordon/skin tag
久保 亮治
1
,
青木 里美
2
Akiharu KUBO
1
,
Satomi AOKI
2
1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野
2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
1Division of Dermatology, Department of Internal Related, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe, Japan
2Department of Dermatology, Keio University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
アクロコルドン
,
スキンタグ
,
脂漏性角化症
,
RAS
,
FGFR3
Keyword:
アクロコルドン
,
スキンタグ
,
脂漏性角化症
,
RAS
,
FGFR3
pp.38-42
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206956
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summary
アクロコルドン(スキンタグ)は,頸部や腋窩,上眼瞼などに加齢とともに現れる,小さな突出性または懸垂性の良性腫瘍である.女性ではブラジャーで擦れる部位に多発することもあり,擦れる刺激が特有の形状に関係すると思われる.今回,13人の被験者から合計55個のアクロコルドンを切除し遺伝学的解析を行ったところ,アクロコルドンは1つ1つそれぞれ独立に,FGFR3,HRAS,KRAS,PIK3CAなどに後天的に生じた体細胞変異を1つ有していた.これらの変異はいずれも脂漏性角化症の原因として知られるものであった.切除したアクロコルドンを表皮と真皮に分離して別々に解析したところ,原因となる体細胞変異は表皮にのみ同定された.すなわちアクロコルドンとは,FGFR3,HRAS,KRAS,PIK3CAなどの細胞増殖関連遺伝子にconstitutive activeな体細胞変異を生じたケラチノサイトにより形成される良性腫瘍と考えられた.
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