小児に対する膝蓋骨不安定症の治療

Treatment of skeletally immature patients with patellofemoral instability

要旨：骨端線未閉鎖の症例における膝蓋骨脱臼の再脱臼率は成人例よりも高い。初回脱臼は保存療法が選択されることが多いが，反復性膝蓋骨脱臼においては，内側膝蓋大腿靱帯（MPFL）再建術をはじめとする手術療法で良好な術後成績が報告されている。手術には骨端線を温存するための様々な方法が用いられる。一方で，習慣性膝蓋骨脱臼の症例はMPFL再建単独では再脱臼率が高く，proximal realignment法とdistal realignment法を含めた複合的な手術が推奨される。小児の恒久性膝蓋骨脱臼では先天例が多く，Down症候群やnail-patella症候群などの関与を考慮する必要がある。治療は手術療法が推奨され，早期の複合的手術で二次的な骨変形を予防し，安定した術後成績が報告されている。