書評
転倒予防白書2023
中島 康晴
1
1九州大学整形外科
pp.1119-1119
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002683
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「人は転ぶもの」これは作家・五木寛之氏が第7回日本転倒予防学会学術集会の特別講演で述べられた言葉だそうで,本書の序文より引用した。まさに人は転ぶことによって様々な怪我をしてしまうのである。私も日常診療では「転ばないように」と患者さんに声をかけてきたが,真に身近な現象として捉えていなかったようだと反省している。というのも私の肉親が昨年大腿骨頚部骨折を受傷して,改めて転倒予防の重要性を認識したからである。私事ながら,コロナ禍で面会が制限されている中,彼女の身のまわりの世話から術後せん妄との闘いまで,それはそれは苦労した。背景に高齢,筋力低下,骨粗鬆症などがあるのはわかっているものの,現象としての直接的な原因は転倒であることに改めて気づき,いかに転倒(あるいは再転倒)そのものを予防するかが私自身の大きなテーマになっていたのである。
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