特集 地域での寝たきりゼロ作戦
高齢者の転倒の予防
安村 誠司
1,2
Seiji YASUMURA
1,2
1山形大学医学部公衆衛生学講座
2(財)東京都老人総合研究所
pp.464-466
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900837
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◆はじめに
1986(昭和61)年国民生活基礎調査によれば,寝たきり老人は約60万人で65歳以上人口(老年人口)に占める割合は4.6%になっている.厚生省の予測によれば2000(平成12)年には寝たきり老人は約100万人に達するとされている.数字の上では寝たきり老人が1.7倍も増えるわけでその増加率には驚かされるが,老年人口も1986年の1,300万人が2000年にはその1.6倍の2,100万になると予測されており,老年人口に占める割合は約4.8%と現在とあまり変わらない.高齢になるにしたがって寝たきりになりやすくなるが,高齢者に占める75歳以上の後期高齢者の割合が将来増大することを考慮すると,今後高齢者は寝たきり老人になりやすくなるのではなく,むしろなりにくくなることがわかる.そのもっとも大きな理由は,寝たきりの最大原因である脳卒中の減少傾向が今後も継続すると考えられているからである.その一方で,寝たきりの原因として最近とみに注目を集めているのが骨折である(表1).老人の骨折は骨粗鬆症という,骨が脆くなる変化を基盤として発生してくるのである.
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