特集 もう一度初心にかえってPOS—第9回POS研究会報告
導入講演 ‘POSとの出会いと問題点’
病院管理者の立場から
山口 巌
1
1労働福祉事業団福島労災病院
pp.710-713
発行日 1987年11月30日
Published Date 1987/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908444
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必要性を明らかにし意欲を喚起する
教育が‘学習者の行動に価値ある変化をもたらす過程’ならば,そして医師も看護婦も‘生涯学ぶ人’である限り,POSの導入は正に教育そのものといえよう.そしてまた教育の出発点がニードでありその主エンジンが学習者の意欲であることは,この場合も例外ではないであろう.筆者が初めてPOSの考えを学んだのは第二回医学教育者のためのワークショップ(1975年,医大教師および研修病院指導医のために国が毎年開催している)においてであるが,当時某研修病院のカリキュラム責任者として教育方法の改善を模索していたという事情がなかったならば,この出会いが筆者に与えたインパクトもあのように強烈ではなかっただろう.
医師初期研修のあり方は当時まだ確かでなかった.卒前教育における知識の吸収と後期研修における高度技術の習得のはざまにあって,広く医師として必要な知識・技能・態度を身につけるという概念はよく分かっても,限られた期間に実効をあげる方法について公式はなかったのである.よく,初期研修では多忙な診療そのものが学習である,といわれた.
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