整形外科医のキャリア形成とジェンダーバイアス

Career development for female orthopaedics and gender bias

要旨：最新版で見る日本の女性医師比率は21.9％と世界的に見ても少ない。さらにその中で整形外科を専門とした女性医師比率は最低の5.3％であり，専攻分野の調査では女性医師の偏在化が顕著であり，手の外科・小児整形が多く脊椎や下肢系が少ない。その背景には，無意識に固定概念にあてはめてしまう “無意識のバイアス” で生じるジェンダーステレオタイプの問題があり，整形外科の女性医師問題は，“女性” と “整形外科” それぞれのステレオタイプが一致しないことも影響している。このようなジェンダーステレオタイプは女性のキャリア形成における最大の障壁であり，世界各国が教育をはじめとした様々な対策を講じている。またステレオタイプのストレスで自身が本来の能力を発揮できなくなる “ステレオタイプの脅威” は誰しもが陥る問題であり，女性医師が様々なライフイベントと折り合いをつけながら勤務する際に影響を及ぼす。この対処法を考察しながら女性医師の在り方を考える。