変形性膝関節症の早期における半月板変性の機序

Mechanism of meniscus degeneration in early-stage knee osteoarthritis

要旨：中高年者では，変形性膝関節症の有無にかかわらず加齢とともに半月板損傷の有病率が増加する。また，単純X線像ではKellgren-Lawrence分類のgrade 0でも，MRIでは約9割に変形性膝関節症性変化が認められ，軟骨損傷ではなく骨棘が最も頻度が高い。さらに近年，内側半月板位置異常（逸脱）がこの疾患の発症と進行に重要な役割を担うことが明らかとなっている。早期から初期では内側半月板は位置異常（逸脱）が損傷を伴わず存在し，骨棘を軟骨成分も考慮して評価すると，脛骨近位の骨棘距離と一致しかつ相関する。そして半月板は，位置異常（逸脱）が拡大すると変性するようになる。今後は，変形性膝関節症の早期の重要な病変である「骨棘」と「半月板位置異常（逸脱）」そして「半月板変性」についての解析が進むことで，本疾患の予防や治療についてより本質的な議論の場が整うことが期待される。