半月板のバイオメカニクス

Biomechanical foundations of the knee meniscus

要旨：半月板は水分およびコラーゲンとプロテオグリカンを主成分とする細胞外マトリックスが主体となっているため，プロテオグリカンに起因する膨張圧とコラーゲン線維に生じる引張応力との間で平衡状態を保っている。また，コラーゲン線維は部位によりその走行および分布は異なる。このような生化学的組成ならびに組織学的な特徴により，半月板は荷重伝達能，衝撃吸収能，膝関節制動効果などの機能を有する。半月板部分切除は損傷自体より大きな半月板の荷重分散能の減少をもたらすことが明らかになっている。半月板の荷重伝達能には半月板による接触面積の増加に加え，半月板の周方向に走行しているコラーゲン線維によるhoop力伝達機能が関与している。したがって，バケツ柄断裂や半月板後根の損傷は周方向の半月板のhoop力伝達を阻害することにより，半月板の荷重分散能を低下させるものと考えられる。