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特集 脊椎脊髄外科の最近の進歩
Ⅱ.各種疾患に対する治療法・モダリティ
頚椎・胸椎疾患に対する治療
胸椎OPLLに対する手術法と手術成績
-―全国多施設前向き調査と自験例の検討―
Surgical outcomes for thoracic ossification of the posterior longitudinal ligament in the nationwide multicenter research and our institute research;prospective study
今釜 史郎
1
,
安藤 圭
1
,
小林 和克
1
,
石黒 直樹
1
Shiro IMAGAMA
1
1名古屋大学医学部,整形外科学
キーワード:
Thoracic ossification of the posterior longitudinal ligament
,
Surgical methods
,
Surgical outcome
Keyword:
Thoracic ossification of the posterior longitudinal ligament
,
Surgical methods
,
Surgical outcome
pp.505-512
発行日 2019年4月30日
Published Date 2019/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000862
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要旨:胸椎OPLLは術前脊髄症状や脊髄圧迫所見が高度なため手術治療を要するが,術後の下肢運動麻痺など術後合併症率が非常に高く,至適な手術方法が確立されていない。胸椎OPLL手術に関する全国多施設前向き研究では,115例の周術期合併症が51.3%(一過性を含む),術後下肢運動麻痺が32.2%と高率であった。一方,術後1年でのJOAスコア改善率は平均55%で,過去の多施設研究に比べ改善していた。このように,近年の疾患理解の向上と,手術技術や医療機器の発展により手術成績は確実に向上しているが,高率な術後合併症は今後解決しなければならない問題である。当科で施行している後方除圧矯正固定術は広範囲OPLLに対応でき,比較的安定した良好な手術成績が得られ,術中脊髄モニタリングの波形低下に応じた術中対応もとれる点で有用な手術選択肢である。しかし症例の中には二期的に胸椎OPLL切除を要するものもあり,当科では後方進入脊髄前方除圧術(RASPA法)を施行し良好な成績を得ている。現在のところ,前方手術,後方手術,後方からのOPLL切除などの術式選択は,手術侵襲や患者の術前脊髄症状,画像上の脊髄圧迫程度などを評価し,患者ごとに検討していく必要がある。より安全で良好な手術治療のため,今後もさらに症例集積と検討を要する。
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