特集 Complex elbow instabilityの治療の現状
Terrible triad injuryの治療 鉤状突起骨折の骨接合は必須か
洪 淑貴
1
,
堀井 恵美子
1
1名古屋第一赤十字病院,整形外科
キーワード:
Complex elbow instability
,
Terrible triad injury
,
Surgical outcome
Keyword:
Complex elbow instability
,
Terrible triad injury
,
Surgical outcome
pp.1083-1089
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000110
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肘関節terrible triad injury では,従来尺骨鉤状突起骨折や前方関節包の修復の重要性が強調されてきた。しかし,本損傷は肘関節後方脱臼に橈骨頭および鉤状突起骨折を伴った病態で,本質的には単純後方脱臼と大きく異ならない。肘関節のprimary stabilizerは,腕尺関節の骨性構造と両側側副靱帯の3 者であるが,本損傷では鉤状突起骨片は腕尺関節の骨性安定性を損なうほど大きくない。われわれは,橈骨頭骨折と内外側側副靱帯の修復を行い,鉤状突起骨折は放置している。本損傷は症例によって各要素の損傷程度が様々であり,われわれのプロトコールは肘関節のprimary stabilizer を必要最小限修復することで関節安定性を獲得するものであり,TT 損傷9 例の治療成績は,術後平均可動域屈曲133°/伸展−12°,Mayo Elbow Performance Score は1 例で85 点,8例で100 点であった。鉤状突起骨折は全例骨癒合しなかったが,術後後方亜脱臼を呈した症例はなかった。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.