大腿骨転子部4-part骨折における後外側骨片とslidingの関連性

Relation of posterolateral fragment and sliding in trochanteric 4-part fracture

要旨：大腿骨転子部4-part骨折における，後外側骨片とslidingの関連性を検討した。Short femoral nailを用いて，骨接合を施行した大腿骨転子部骨折321例中，① 4-part骨折である92例に対し，術直後の単純X線像で，後外側骨片をネイルでとらえている症例をnail（＋）群，後外側骨片をネイルでとらえていない症例をnail（−）群と定義した。② 4-part骨折において，術後1週でCTを施行した53例に対し，CTにおける大転子前後径の健患差を測定した。すべての対象に対し，術後1週単純X線像でのsliding量を計測した。その結果，① において，平均sliding量はnail（＋）群で1.64mm，nail（−）群で5.96mmであり，統計学的有意差を認めた。② において，大転子前後径の健患差（後外側骨片転位量）と術後sliding量は，中等度の正の相関を認めた。