非ステロイド性消炎鎮痛剤長期服用による胃・十二指腸粘膜傷害と腎障害の発生状況調査

A research on frequencies of gastroduodenal ulcers and renal complications observed in orthopaedic outpatients who take NSAIDs more than 6 months

要旨：非ステロイド性消炎鎮痛剤（NSAIDs）による胃粘膜傷害について長期の報告は少ない。当院における長期NSAIDs処方の実態と胃・十二指腸粘膜傷害，腎障害の発生状況を調査した。2010年1月からの6年間に当院で上部消化管内視鏡検査（EGD）を施行した延べ545例のうち，NSAIDsを6カ月以上服用していた110例（男性17例，女性93例，平均74.7歳）を対象とした。調査項目はNSAIDsの服用期間・種類，消化器用薬の種類，自覚症状，胃・十二指腸粘膜傷害の発生率，NSAIDs服用前とEGD後での肝・腎機能の変化である。NSAIDs服用期間は平均1,205.4日で，NSAIDsはロキソプロフェンが52例，消化器用薬は防御因子増強薬が61例，自覚症状は心窩部痛が32例で最も多かった。EGDで43例（39.1％）に胃・十二指腸粘膜傷害を認めた。NSAIDs服用前とEGD後で腎機能は有意に悪化（p＜0.0001）した。われわれ整形外科医は胃・十二指腸粘膜傷害と腎障害の点において，長期のNSAIDsの投与に注意を払う必要があると考えた。