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特集 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション診療
第2章 大腿骨転子部・転子下骨折の手術とリハビリテーション治療,合併症
大腿骨転子部骨折のリハビリテーション治療時に注意すべき合併症
The Complication of Rehabilitation for Femoral Trochanteric Fracture
原 夏樹
1
,
福田 文雄
1
Natsuki Hara
1
,
Fumio Fukuda
1
1北九州総合病院 整形外科
キーワード:
術後整復位分類
,
Sliding
,
カットアウト
,
骨性コンタクト
Keyword:
術後整復位分類
,
Sliding
,
カットアウト
,
骨性コンタクト
pp.694-699
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr034070694
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内容のポイント Q&A
Q1 大腿骨転子部骨折における荷重制限が必要な病態は?
大腿骨転子部骨折治療も他の骨折治療と同様に骨性コンタクトを重視し,安定した整復位を得ることが重要である.転位のある骨折に対しては全例に安定した整復位を得るべく整復操作を行うべきであるが,術中に十分な整復位が得られなかったと判断された場合は術後3D-CTを撮影し,骨性コンタクトが得られていればそのまま荷重を許可し,得られていなければ後療法を遅らせる.
Q2 大腿骨転子部骨折における固定性不良,整復不良は?
術後の安定性を予想できる現在唯一の術後整復位分類であるAP3×ML3分類にて固定性の評価を行う.これは正面像で解剖型,内方型,外方型に,側面像で解剖型,髄内型,髄外型に分類して,術後の整復位を9タイプに分類したものである.整復位は正面像で外方型,側面像で髄内型が術後slidingを生じやすく避けるべき整復位である.
Q3 大腿骨転子部骨折におけるカットアウトのリスク管理とその後の対応方法等は?
カットアウトの明確な指標がないのが現状であり,術後sliding量を目安にする報告が多い.過度のslidingを予測する因子として有用なのは受傷時の骨折形態分類ではなく,術後の整復位分類である.術中に正面像やや内方型,側面像やや髄外型を得られるよう整復操作を行うべきであるが,安定した整復位が得られなかったと判断された場合には術後免荷や歩行制限等の後療法を組む必要がある.

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