発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003099190
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72歳女.全身倦怠感,労作時呼吸困難を主訴とした.バセドウ病にて甲状腺1/2切除の既往があり,その後筋肉痛をときに自覚していた.Ca5.8mg/dl,リン6.8mg/dlで,高リン血症を伴った低Ca血症であり,腎機能正常,intact-PTH9pg/ml低値であることから副甲状腺機能低下症による低Ca血症と考えられた.胸部X線像にて心胸比65%,肺うっ血を認め,心エコー検査では左室拡張末期径57mmでび漫性壁運動低下があり,駆出率45%であった.ループ利尿薬,ACE阻害薬の投与とともに低Ca血症に対しalphacalcidol2μg,炭酸Ca3gを投与した.血清Ca値の正常化に伴い,心不全症状は次第に改善し,6週間後には正常範囲内となった.本症例は,甲状腺切除術後に筋痙攣等の症状があったにも拘わらず約30年間無治療であり,慢性的な低Ca血症があったと考えられた.以上より,原因不明のうっ血心不全症例においては,血清Ca値の測定も必要であると考えられた
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