特集 乳癌の診断・治療
治療
放射線治療
寡分割照射(部分照射を含めて)
宮澤 一成
1
,
鹿間 直人
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線科
キーワード:
乳癌
,
寡分割照射
,
加速乳房部分照射(APBI)
Keyword:
乳癌
,
寡分割照射
,
加速乳房部分照射(APBI)
pp.593-599
発行日 2019年4月5日
Published Date 2019/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000836
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乳癌は日本人女性が罹患するがんの中で最も多く,その罹患率は増加の一途をたどっている。年間約70,000人以上の女性が乳癌に罹患すると推定され1),日本放射線腫瘍学会の調査では,放射線治療を受ける女性の約40%が乳癌であった2)。乳癌の治療は,手術療法,薬物療法,放射線治療を組み合わせた集学的治療で成り立っており,放射線治療は主に術後再発予防を目的として,乳房温存術後または乳房切除術後に行われる。早期乳癌において,乳房温存療法における術後全乳房照射は標準治療となっており,乳房内再発を減らすとともに生存率の向上が得られる3)。しかしながら,これまでの全乳房照射は約5週間の治療が必要となり,頻回の外来通院による時間的負担や身体的負担につながっている。時間的・身体的負担から日常臨床において乳房温存術後の照射が省略されることもあり,照射の省略は乳房内再発を増加させるだけでなく死亡率を増加させることが問題となる。照射回数を減らして治療期間を短縮する寡分割照射(hypofractionation)や,全乳房ではなく腫瘍床に限局して照射し治療期間を短縮する加速乳房部分照射(accelerated partial breast irradiation:APBI)などの治療方法の開発が進められている。本稿では,乳房温存療法における術後放射線治療としての寡分割照射およびAPBIについて概説する。
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