特集 乳癌の診断・治療
治療
放射線治療
乳癌の小線源治療
高橋 加奈
1
,
伊丹 純
1
1国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
キーワード:
乳癌
,
小線源治療
,
組織内照射
,
SAVI(strut-adjusted volume implant)
Keyword:
乳癌
,
小線源治療
,
組織内照射
,
SAVI(strut-adjusted volume implant)
pp.601-609
発行日 2019年4月5日
Published Date 2019/4/5
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000837
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Ⅰ・Ⅱ期乳癌に対する乳房温存療法(乳房部分切除術+術後放射線治療)は,大規模な無作為比較試験の結果,乳房切除術と比較して生存率に有意差がないことが証明され,現在は標準治療となっている1)2)。乳房温存療法における術後放射線治療では,乳房全体を均一に照射し,1回2Gyで5~6週間かけて50Gy程度を照射する全乳房照射が一般に行われている。これに対し,照射対象体積を全乳房から腫瘍床に絞ることにより,1回分割線量を増加させて放射線治療に要する全治療期間を短縮することが可能である加速乳房部分照射(accelerated partial breast irradiation:APBI)という概念が,広がり確立されつつある3)4)。我が国の乳癌罹患者の特徴は,欧米より10歳程度若く45~50歳にピークがあり,有職者や子育てに忙しい年代が中心である。5~7週間の通院が本人,家族や職場への負担となりやすいため,もし術後照射を短期間で終了させることができれば,患者や家族,職場への負担が減り,経済的な効果も大きい。また長期間にわたる術後照射が不可能なために乳房温存を断念せざるをえなかった患者も,乳房温存ができるようになる可能性がある。
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