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骨は,癌の転移巣の中で肺,肝についで転移しやすい部位で,前立腺癌,乳癌,肺癌,腎癌,甲状腺癌,あるいはリンパ腫,多発性骨髄腫に起因することが多い1—3)。骨転移は,転移発生後の平均生存期間が長く,直接生命を脅かすことはまれであるが,激しい骨痛,病的骨折,神経圧迫症状などの重大な合併症を引き起こし患者のQOL(qualityof life)を著しく低下させるだけでなく,抗癌剤などの治療にもしばしば抵抗性を示すため,定期的な画像診断による治療効果判定,経過観察が必要になる。骨転移の画像診断法として用いられているものに単純X 線,骨シンチグラフィ,CT,MRI,FDG-PET/CT があるが各検査には長所,短所がある。骨シンチグラフィはCT,MRI などと異なり造骨活性をみることで病勢評価や治療効果判定に用いることが可能で,骨転移の一般的なスクリーニング方法として普及している。実際の診療では骨シンチグラフィを行い異常があれば単純X 線,CT やMRI で精査を行っている。しかし,MDCT(multi—detector row CT),多チャンネルコイル搭載のMRI では全身撮影が可能になっており,骨転移の診断樹形図が変化してきている。1997 年,New York Memorial Sloan—KetteringCancer Center から報告された骨シンチグラフィから骨転移の広がりを算出する指標BSI(bone scan index:全身の骨量に占める高集積部位の割合(%))が発表されたが4)5),当初は手作業で行っていたため普及していなかった。2011 年から運用され始めたCAD(computer—assisteddiagnosis)のBONENAVI は日本人の骨シンチグラフィのデータベースを搭載しており,自動でBSI の算出が可能で,骨転移の治療効果判定が使用され始めている6)。本稿では前立腺癌の骨転移検索,治療効果判定について日本で使用されているBONENAVI から得られるBSI,ANN(artificialneural network)値などの指標を用いた骨転移診断と治療効果判定について述べる。
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