診療
発見時点より以前の腹部 CTに,膵癌発見の手がかりとなる所見はあるか?
津田 孝治
1
,
松田 恵
1
,
田中 宏明
1
,
城戸 輝仁
1
,
望月 輝一
1
,
菅原 敬文
2
1愛媛大学医学部 放射線科
2国立病院機構四国がんセンター 画像診断科
キーワード:
膵癌
,
CT
,
早期発見
Keyword:
膵癌
,
CT
,
早期発見
pp.1151-1156
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000103
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膵癌は診断や治療法の進歩にもかかわらず,今日においても予後不良癌の代表であり,その5 年生存率は他の癌腫に比べて極めて低い。膵癌患者を救命する唯一の手段は,根治的な外科切除であるが,膵癌患者の多くは発見時において,すでに進行した状態であり,切除不能であることも多い。我々放射線科医は,数多くの腹部CT 検査の読影に携わっているが,その中で進行した膵癌に遭遇することはまれではない。膵癌は比較的進行の早い癌であり,前回CT で所見のないことが多いが,丹念に比較すると軽微な変化がすでに現れていることを,いくつかの症例において経験した。早期発見のプロセスが確立していない現状からは,他の検査目的で施行されたCT から,根治の可能性のある小さな無症状の膵癌を拾い上げることは,極めて重要である。本稿では,症例を呈示しながら,膵癌早期発見の手がかりとなる所見について述べていく。
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