特集 高精度化学放射線療法の治療成績と有害事象
膵癌に対する化学療法併用重粒子線治療の治療成績
篠藤 誠
1
,
末藤 大明
1
,
寺嶋 広太郎
1
,
戸山 真吾
1
,
松本 圭司
1
,
塩山 善之
1
1九州国際重粒子線がん治療センター
キーワード:
膵癌
,
化学療法
,
重粒子線治療
Keyword:
膵癌
,
化学療法
,
重粒子線治療
pp.1135-1142
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000101
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膵癌による死亡者数は年々増加傾向にあり,2015 年の癌統計による部位別死亡順位では第4 位となっている。膵癌に対する唯一の根治治療は手術であるが,診断時に切除可能であることは少なく,また根治切除が施行できた場合でも術後再発のリスクは高い。切除不能例に対しては,化学療法単独あるいは化学放射線療法が標準治療とされているが根治治療としての意義は乏しい。とくに膵癌は放射線抵抗性腫瘍であるうえに,膵周囲には放射線感受性の高い重要臓器が近接することから腫瘍制御に十分な線量を投与することが困難であり,局所治療としての放射線治療の有用性については議論が分かれるところである。一方で近年の新規抗癌剤の開発により化学療法単独による治療成績は向上している1)2)。化学療法と放射線治療の併用は消化器毒性などの有害事象を増強させることから,full dose での全身療法が困難となる3)。化学療法の効果がより強力となるほど,局所効果の不十分な放射線治療を行うより全身療法を行うメリットが大きいと判断される傾向にある。
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