特集 困難症例に対する消化器内視鏡外科手術(小腸・大腸)
局所進行直腸癌に対する他臓器合併切除を伴う腹腔鏡手術─2チームアプローチによる骨盤内臓全摘術を中心に
村田 悠記
1
,
小倉 淳司
1
,
服部 憲史
1
,
佐藤 雄介
1
,
梅田 晋一
1
,
神田 光郎
1
1名古屋大学医学部附属病院消化器・腫瘍外科
キーワード:
骨盤拡大手術
,
骨盤内臓全摘術
,
2チームアプローチ
Keyword:
骨盤拡大手術
,
骨盤内臓全摘術
,
2チームアプローチ
pp.1911-1920
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004750
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1982年にHealdらが提唱したTME(total mesorectal excision)1)は,現代の直腸癌外科治療の基盤であり,局所再発率の低下および長期生存率の改善をもたらした。しかし,TME単独では,局所進行直腸癌(locally advanced rectal cancer;LARC)における局所制御は不十分であり,欧米を中心に術前化学放射線療法(chemoradiotherapy;CRT)が標準治療となった2-4)。近年では局所制御のみならず,長期予後改善を目指してCRTと術前化学療法を組み合わせたTNT(total neoadjuvant therapy)が開発され,さらに腫瘍消失が得られた症例では,非手術治療(non-operative management;NOM)が治療選択肢の1つとなりつつある。術前治療が標準化され,TNT,NOMにより治療が急速に複雑化することは,同時に手術の難化した状況に対応することが不可避である。さらに,狭い骨盤内に存在するLARCでは,膀胱,前立腺,子宮,腟,仙骨などの周囲臓器とのCRM(circumferential resection margin)確保が困難なため,他臓器合併切除や骨盤内臓全摘術(total pelvic exenteration;TPE)などのbeyond TMEが必要となることも少なくない。

Copyright © 2025, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.

