特集 転移性肝腫瘍に対する肝切除
Ⅰ.総論 1)転移性肝腫瘍に対する外科治療戦略
高本 健史
1
,
西岡 裕次郎
1
,
市田 晃彦
1
,
河口 義邦
1
,
赤松 延久
1
,
長谷川 潔
1
1東京大学肝胆膵外科,人工臓器移植・移植外科
キーワード:
肝容積温存手術
,
oligometastasis
,
化学療法関連肝障害
Keyword:
肝容積温存手術
,
oligometastasis
,
化学療法関連肝障害
pp.1017-1024
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004492
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悪性腫瘍の遠隔転移は,原発巣からの腫瘍細胞の遊離,脈管への侵入と流出,他臓器組織への定着など,複数の連続したプロセスを経て成立する。とくに消化器癌においては,腫瘍浸潤を受けた静脈から脱出した腫瘍細胞が門脈を通過し,体循環に至る前の第一関門として肝臓の微小血管網に補足され,定着する経路が存在する。肝転移の存在は,遠隔リンパ節や腹膜,肺への転移と同様にstageⅣに分類され,一般的に予後不良と判断されるが,2000年以降の多くの報告が示すように,積極的な外科治療と化学療法を組み合わせた集学的アプローチによって,予後延長のみならず根治(cure)も期待できる症例が存在する。

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