特集 消化器・一般外科における手術教育の進化と手術手技の継承
Ⅱ 消化器・一般外科における手術手技の継承 6 大腸・肛門 3 腹腔鏡下結腸癌手術
三城 弥範
1
,
山田 典和
2
,
五十嵐 優人
2
,
小林 壽範
2
,
萩原 千恵
2
,
森 至弘
2
,
北川 祐資
1
,
福長 洋介
1
,
渡邉 純
2
1関西医科大学総合医療センター下部消化管外科
2関西医科大学下部消化管外科
キーワード:
腹腔鏡手術
,
CME
,
結腸癌
Keyword:
腹腔鏡手術
,
CME
,
結腸癌
pp.669-675
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004377
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わが国における結腸癌手術の基本的なコンセプトは,原発巣の腸管とそれを支配する動脈に沿って郭清を行うことであり,早期癌に対してD2郭清,進行癌に対してはD3郭清を行う術式が標準術式として行われてきた。一方,ヨーロッパでは2009年にHohenbergerらによってCME(complete mesocolonic excision)が提唱され,転移の可能性のあるリンパ節を含むように全結腸間膜切除をすることで,従来の手術と比較して予後が向上する可能性が示唆された1)。いずれも,癌細胞が腫瘍からリンパ流に沿って流れていき,到達したリンパ節に転移するという理論から,その領域のリンパ節,リンパ流を含む腸管膜を一塊に切除するという点においては一致している。CMEを構成する要素として,「①Dissection in the embryological plane to remove a complete envelope」「②A central vascular tie to remove the lymph nodes in central direction」「③Resection of sufficient length of bowel to remove the involved pelicoic lymph nodes」の3要素が提唱されている。中枢郭清が注目されがちであるが,embryological planeに沿った腸間膜の剥離が長期予後に影響を与え得る重要な手技と考え,当科ではそれを若手に指導している。

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