特集 解剖学的変異を考慮した下部消化管手術
内臓逆位症例に対する腹腔鏡下大腸手術
三城 弥範
1
,
小林 壽範
1
,
松三 雄騎
1
,
濱田 円
1
,
関本 貢嗣
1
1関西医科大学外科
キーワード:
完全内臓逆位
,
大腸疾患
,
腹腔鏡手術
Keyword:
完全内臓逆位
,
大腸疾患
,
腹腔鏡手術
pp.1311-1317
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002339
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完全内臓逆位(situs inversus totalis;SIT)はBlegenらの報告によると胸部レントゲン検査では1:6,600,剖検では1:6,200の発生率であり1),わが国では勝木らが1:3,000~5,000の発生率と報告している2)。SITはおおむね3,000~7,000人に1人に発生するまれな先天奇形であるが,日本内視鏡外科学会が行ったアンケート調査では2017年に小腸・大腸疾患に対して行われた腹腔鏡手術の総数は4万2,936症例にも上り3),大腸疾患に対する手術は年々増加傾向にあるため,外科医がSIT患者に遭遇する可能性は十分にある。解剖学的位置関係が逆になるため手術の難度が上がると予想されるが,SIT患者とはいえ,腹腔鏡手術が普及した現在では,患者のQOL(quality of life)や拡大視効果のメリットを考慮すると,腹腔鏡手術を選択することも念頭に置かなければならない。
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