増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅲ 小腸・大腸
良性疾患
腸閉塞
小山 文一
1
,
久下 博之
1
,
尾原 伸作
1
,
岩佐 陽介
1
,
竹井 健
1
,
高木 忠隆
1
,
定光 ともみ
1
,
原田 涼香
1
,
藤本 浩輔
1
,
庄 雅之
1
Fumikazu KOYAMA
1
1奈良県立医科大学消化器・総合外科学教室
キーワード:
腸閉塞
,
絞扼
,
closed loop obstruction
Keyword:
腸閉塞
,
絞扼
,
closed loop obstruction
pp.145-150
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213900
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従来日本では,腸管の通過障害を閉塞機転の有無にかかわらず“イレウス”と総称し,成因によって機械性イレウスや機能性イレウスと称してきた.しかし,海外では“ileus”を機能性の腸管麻痺,“intestinal obstruction”を機械的な閉塞を伴う腸閉塞と区別されてきた.この乖離を是正すべく,2015年発刊の『急性腹症診療ガイドライン2015』1)では,機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし,従来の機械性イレウスはイレウスとは呼ばず,腸閉塞と定義された.したがって,現在の腸管通過障害の概念と治療方針は図1のようになる.
腸閉塞は,急性腹症のなかで男性3位,女性2位の頻度の高い疾患で,発症後30日以内の死亡率が約5%の危険な疾患である.特に絞扼性腸閉塞は医療訴訟の多い疾患で,争点の大半は診断の遅れと緊急手術の遅れである2).腸閉塞は適時の診断と治療介入が決定的に重要な疾患である.本稿では,診断に利用されることの多いCT画像と術中所見を対比させて術前CT画像の読み解きに迫る.
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