特集 内視鏡下大腸手術における術中トラブル対応と開腹移行
開腹手術を選択すべき結腸癌症例と手技のポイント
髙雄 美里
1
,
川合 一茂
1
1東京都立病院機構 がん・感染症センター都立駒込病院大腸外科
キーワード:
結腸癌
,
開腹手術
,
適応
Keyword:
結腸癌
,
開腹手術
,
適応
pp.1597-1604
発行日 2023年10月15日
Published Date 2023/10/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003545
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大腸癌手術において腹腔鏡手術が開腹手術と同等の腫瘍学的根治性を得られるか否かについてはいまだ結論が出ていない。日本のJCOG0404試験1)をはじめ,欧米のCOST trial2),COLOR trial3),CLASICC trial4)など,いくつかの腹腔鏡下大腸手術と開腹手術を比較する第Ⅲ層試験がこれまで行われたが,いずれも短期成績では腹腔鏡手術が優れるものの,長期成績では腹腔鏡と開腹の同等性がほとんどの試験で証明されていない。ただ,術後の創痛の低減や在院日数の短縮に腹腔鏡手術がきわめて有用であることから,わが国における腹腔鏡手術は近年急速に普及し,日本内視鏡外科学会によるアンケート調査によれば,2019年には大腸癌症例の約80%が腹腔鏡で行われているのが現状である。しかし,癌治療において最も重要なのは長期予後であることは論をまたず,腹腔鏡手術では断端陽性になる可能性が高いケースなど,腫瘍学的安全性が保てないと考えられる場合には腹腔鏡手術にこだわらず開腹手術を選択すべきである。
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