特集 こだわりの体腔内縫合・吻合術
Ⅲ.大腸外科 5)腹腔鏡下S状結腸切除後の体腔内吻合
小澤 平太
1
,
豊田 尚潔
1
,
中西 亮
1
,
三瀬 農
1
,
下地 信
2
,
藤田 伸
1
1栃木県立がんセンター大腸骨盤外科
2宇都宮肛門・胃腸クリニック
キーワード:
体腔内吻合
,
Overlap吻合
,
腹腔鏡下S状結腸切除術
Keyword:
体腔内吻合
,
Overlap吻合
,
腹腔鏡下S状結腸切除術
pp.239-247
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000003162
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
腹腔鏡下結腸切除術(laparoscopie-assisted colectomy;LAC)後の腸管の再建方法として,近年,体腔内吻合法(intracorporeal anastomosis;IA法)が行われることが多くなった。LACでは大腸の剝離・授動と主要血管の処理を終えたあと,腸管をループ状のまま体外へ挙上して体腔外で切離・吻合する体腔外吻合法(extracorporeal anastomosis;EA法)で再建することが多いため,DST(double stapling technique)吻合で再建する腹腔鏡下直腸切除術に比べて創部が大きくなりやすい。小さな創部から腸管を引き出そうとして過度に牽引したり,剝離が不十分なままで腸管を体外へ挙上しようとしたりすると,腸間膜の断端から思わぬ出血をきたすおそれがある。また,授動した腸管を体外へ挙上するための皮膚の小切開創は臍部正中縦切開となることから,BMI(body mass index)の高い患者が多い欧米では,腹壁瘢痕ヘルニアのリスクが高くなることが知られている1-3)。IA法の場合,切除した検体を体外へ取り出すための創部は部位を選ばないため,欧米では,整容性と腹壁瘢痕ヘルニアのリスク軽減という観点から,下腹部横切開(Pfannenstiel法)の創部から切除した検体を取り出すことが多い。なかでも,結腸-結腸吻合によるEA法ではとくに創が大きくなりやすいことから,左側結腸のLAC後の再建方法として,本法はとくに良い適応であると考えられる。
Copyright © 2023, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.